カテゴリー: 楽器

クリーンな?電源

以前,実験用の可変シリーズ電源を作りましたが,今回は,エフェクター用にシリーズ電源を作りました.
DC12V入力9V出力というのはよく市販されていますが,トランス好きなので,AC入力なものにします.アナログエフェクターは10[mA]とか20[mA]くらいしか消費しないので,秋月で豊澄のHT-1205(12[V], 500[mA])を660円で購入し,9[V], 500[mA]の三端子レギュレータ78M09と適当なキャパシタで組みました.この際,SoulfoodのACアダプタをみならい,三端子レギュレータのアース端子にシリコンダイオードを挟んで,約9.6[V]出力を目指しました.006Pが新品の時は,これくらいの電圧になるらしく,それくらいの値にしておくと,エフェクターが良い音がするという話もあります.

アルミケースを眺めると,2.1[mm]のDCジャックが6個並べそうです.ACケーブルはケースに穴を開け,ゴムのグロメットをはめたところから通し,ミニのガラス管ヒューズのケースとスイッチを経てトランスへ接続します.小型なので,特にACインレットは使いません.

小型のネオンランプが無かったので,今回はパイロットランプにLEDを使います.
高輝度ではない,安~いLEDにしたら僅かな電流でも光るみたいで,9.6[V]に対し,4.7[kΩ]の直列抵抗でも明るく光っています.

エフェクタ用なのでもちろん2.1mmジャックはセンターがGNDです.間違えて無線機を接続しないようにしないと.

KLON Centaurの製作

エフェクターのSoul Foodが気に入ったところで,その原型となる本家本元KLONのCentaurが気になります.さすがに本物はプレミアが付いていて何十万円もすることがあるので,手が出ませんが,ネット上には色々な情報が展開されています.

Centaurの筐体を開けると,基板上の部品は樹脂モールドされていて,使用部品や回路図がわかりにくいみたいですが,色々な人が解析をしていて,ほぼほぼ解明された回路図が出回っています.

KLON Centaurの回路図(craftsmanさん)

最大の特徴は,スイッチドキャパシタを用いた昇圧ICで入力の9Vから18Vと-9Vを生成し,よりブライトな?パリッとした音作りをしているところかと思います.TL072という8pin 2回路入りのオペアンプを2チップ使い,一個めのチップは9V動作,二個目のチップは+18V,-9V動作をしています.一個目のチップの中の初段はプリアンプ動作,二段目はGain調整をしています.エフェクターをスルーさせる動作の時は,初段の出力がそのまま出ていきます.
2チップ目のオペアンプとの間に,ゲルマニウムダイオードを用いたクリップ回路が付いています.受信機のアナログ・フロントエンドの保護回路よろしく,二個の逆向きダイオードが接続されて振幅制限をかけています.これによって正弦波がクリップされ,高調波を生成,オーバードライブ的な歪ができるという仕組みです.18V,-9Vが印加された二個目のオペアンプをこの入力を増幅しますが,そこにTREBLE調整と出力レベル制御も備わっています.
もうひとつの特徴は,最終的な出力の作り方かと思います.オペアンプ4段を通ってきた信号と,プリアンプから直の信号,プリアンプからの信号にフィルタをかけた信号の3種類を混ぜて最終的な出力を作っています.このあたりが,ポッドによる調整の対象となっており,独特の音になるのでしょう.

当初は,ネット上で得られた情報を元にプリント基板を起こそうとしていたのですが,たまたま楽天のセールが始まり,仙台の音色研究会オリジナルのCentaurの基板が半額セールになっており,ポチッとしてしまいました.

仙台初心者ギターサークル 音色研究会さん

あとは必要な部品を秋葉原で調達.無線の関連でゲルマニウムダイオードの入手先は把握していたのですが,昇圧のIC(ICL7660)と,100kオームBカーブの二連ポッドの入手に苦労しました.エフェクタ関連の部品は,ラジオデパートの桜屋電機店が有名で,お値段も安く入手できます.焼き付け塗装済みのケースも含め,ほとんどはここで揃いましたが,昇圧ICは入手出来ず,斜め向かいの店を紹介してもらい,新日本無線のセカンドソースチップ(NJU7660)をゲット.2連ポッドについてもラジオデパート内で入手しましたが,軸の長さが長く,他のポッドと高さが異なってしまいました(切れば良いのですが).

製作には二日ほど要しましたが,3mmくらいの小さいボディの抵抗器を想定したプリント基板であったため,いくつかフォーミングをする必要があり,それ以外は特に問題もなく完成.なお,音色研究会さんの回路図は,トーン回路のあたりが変更後のタイプになっていたのと,二連ポッドへの配線図に誤りがあったので,注意しましょう(見ればわかる範囲ですが).

KLON Centaur風エフェクター

早速試奏です.当たり前ですが,Soul Foodと似た音色です.パリッとしています.ただ,キーンという高音のノイズがずっと聞こえます.昔,スイッチング電源をアンプに使って失敗した時を思い出します.そうです,あの昇圧ICが原因です.色々調べると,新日本無線のチップNJU7660は5kHzでスイッチングしているらしく,それがもろに聞こえてきます.
その後色々調べたところ,世の中には色々な改良版の互換昇圧ICがあり,boost modeにすると,スイッチング周波数が10倍の50kHzになって可聴域外になるタイプのICがあり,それを使うことにしました.例えばLTC1144です.秋月で400円です.このために電車賃を払って行くのも面倒なので,日頃欲しいと思っていたいくつかの部品とともに通販で注文,送料500円で二日後にはゲット.便利な時代です.
予想通り,キーンという音はなくなり,完成です.
GAINのポッドだけ軸が長いのが気になりますが,音は良いので.

真空管ギターアンプ ~テスト,キャビネット製作編~

真空管ギターアンプの半田付けが一通り終わり,早速テストです.
ギターアンプ用のキャビネットはまだありません.
今回の真空管ギターアンプには,LINE出力があるので,そこから秋月の半導体アンプを経て,2011年7月号ステレオ誌の付録だったFostexのスピーカー(P-800,コイズミのエンクロージャ入り)に接続しました.オーディオ用のスピーカーに接続するのは破壊するおそれがあるので注意するようによく言われますが,今回はLINE出力からの接続なので安心です.
ギターをつないで早速試奏,なんとも言えない柔らかい音がスピーカーから流れてきます.
半導体アンプとかオーディオスピーカーを経ているのに,この感じの良さだったために,更なる期待値が高まり,早速スピーカーキャビネットの製作を開始します.
ギターアンプ用のスピーカーユニット(CELESTION Eight15/8,8インチ)は既に購入済みだったので,あとは,適当な木箱を探します.Fender型のアンプなのにJENSENではなく,CELESTIONなのか?とか,色々突っ込みどころがありますが,そこまでのこだわりは無いもので.

今回のアンプ/スピーカーは自宅練習用なので,大きな音を出さないことが望ましく,理想は12インチと言われる中8インチのスピーカーを選択,それに合わせて30cmくらいの大きさの箱が丁度良いです.ホームセンターでちょど良さそうな木箱を入手,スピーカーや端子接続用の穴を開け,黒くスプレー塗装して完成です(カインズホームのスプレー缶は200円弱で安くて嬉しい).
ギターアンプキャビネットの裏側はオープンなのかクローズドなのか,色々あるみたいですね.バスレフになっていないものが多いです.裏を開けるのは,後ろに居るドラマーに音がよく聞こえるようにとか色々な配慮がある様ですが,今回は密閉.

早速真空管ギターアンプと接続します.
ここで余談です.ギターとアンプを接続する際に”シールド”と呼ばれるケーブルを使います.これと同じ様なケーブルでギターアンプとスピーカーを接続するのですが,こちらは場合によっては100Wとかの電力を伝送することになるので,専用のものが用意されています.スピーカー一体型のギターアンプが多いためか,この手のケーブルをあまり売っていないので,材料を通販で取り寄せて自作しました.太いケーブルです.6.3mmのプラグもゴツイです.

このケーブルでアンプと接続し,早速試奏.音量を下げても気持ちよく響きます.ギターアンプ用のスピーカーは96dBとかの高効率なものが多く,今回のアンプの様に5Wくらいしか出力がなくても,大きな音がなるので注意が必要です.

ついでに,色々計算して,固定抵抗でアッテネータも作りました.アンプ側から見て8オームになり,スピーカーも8オーム(ヘッドフォンは32オームだけど両耳をパラにするので16オームかな?)で,100mWくらいがスピーカー/ヘッドフォン側に行き,5Wのほとんどは抵抗で消費する様に計算して設計すれば良いので,オームの法則さえ知っていれば簡単です.
60円くらいのセメント抵抗を2,3本でできたかと思います.
これで,自宅でも,GAINをフルにしてアンプの歪を堪能することができます.

真空管ギターアンプ自作

真空管ギターアンプで練習した方がピッキングがうまくなるとか,色々聞きかじってしまうと,電子工作好きとしては,作りたくなってしまいます.

以前も紹介したかと思いますが,参考文献として有名です.
設計の方法から部品の入手方法まで丁寧に書かれていて,楽しく読めます.
ほぼほぼこの本に従って製作してみました.トランスの入手が困難なことが多いのですが,東栄変成器さんの前を通りがかった時に「ありますか~?」と聞いたら「ギターアンプ(作るの)?,あるよ!」と見透かされた様に(笑)言われ,嬉しくて一気に作る方向へ加速した次第です.

普段数ボルトの回路しか作っていないので,280[V]とかの回路を作るのは部品集めの段階からドキドキで,小学生の時に初めて安定化電源を作った時の気分を思い出しました.実は,子供の頃からなぜかトランスが好きだったというのもあります.

真空管アンプは,半導体で構成された電子回路と比較して部品点数は少ないので,半田付けはサクサク終わるのですが,その前のシャーシの加工は結構時間がかかります.電源トランス用の四角い大穴を開けたり,真空管用の大きな丸穴を開けたり,ハンドニブラやシャーシパンチが大活躍です.

真空管は,ラジオデパートで揃いました.5AR4という整流管が結構お高いです.電流が流れた時に電圧降下が大きくなって,コンプレッサー的な働きをするから,ダイオード整流よりも整流管がギターアンプに向いているとか,色々な説があるので,今回はとりあえず使ってみましたが,発熱も大きく,寿命も一年くらいで交換らしいので,いずれダイオードブリッジに変更してしまうかも...
整流管の中で,5AR4は電圧降下が少ない方で,10Vくらいの降下で済みますが,5R4GYBとかだと63Vも降下しますので,パワー管の設計が変わってしまいます(電源トランスのタップを変更するという手もありますが).順方向の電圧降下が0.6~0.7[V]くらいのSiダイオードとはエライ違いです.最近は,ショットキーバリアダイオードのダイオードブリッジもあるので,尚更ですね.
今後,整流管をダイオードブリッジに変更する際は,パワー管に印加される電圧が高くなってしまうことにも注意が必要です(数百ボルトの世界での10Vの違いだから大したことないかも知れませんけど).

完成後については,次回に.

ELECTRO-HARMONIX / Soul Food

Electro HarmonixのSoul Food

久々にギターネタです.
冬になると個人的にSOTAがシーズンオフになり,昨秋から今春にかけては,ギターに集中していました.別途記事にする予定ですが,おニューのギターを入手したり,Fender Champ系の真空管ギターアンプを作ったり,色々充実していたのですが,その中で,プロが弾いているみたいなパリッとした音が出したくて,色々エフェクターを研究した結果,どうやら, ELECTRO-HARMONIXのSoul Foodがお気に入りになり,入手した次第です.
様々なサイトで記事になっているので,詳しい説明は省きますが,有名なKLONのCentaurというエフェクター(今はほぼ製造しておらず,20万円とかで取引されることもある)の互換機を実売1万円前後で販売しているものです.
エンジニア的なことを書くと,オリジナルとほぼ同等な回路を,表面実装部品を多用してコンパクトに仕上げています.Centaurについては,自作もしてみたので,これもまた別記事にしたいと思います.
で,実際のSoul Foodですが,なかなか良いです.Fender系というかシングルコイル系のエレキギターでパリッとしかもある程度太い音を出したい人には最適かと.
レスポールとマーシャルのアンプという組み合わせが好みの場合には,若干方向性が違うので,それは使い分けが必要と思います.
Gain,Treble,Volの3種のポット(ボリューム)がついていますが,傾向がつかみやすいので,好きな音にはスムーズにたどりつける気がします.

並行輸入品だとACアダプタがつかないみたいですが,正規輸入品だとACアダプタもついていているので,それも含めると価格もお手頃です.なお,並行輸入だとACアダプタが付属しない件は,日本の電安法の関係かと思います.国内の安全基準を満たしたACアダプタでないと許可が下りないので,正規代理店は,独自のACアダプタを付属品として添付しています.

テレキャスキット製作の続き(完成)

塗装でかなり手間取りましたが,やっと完成しました.やはり,ラッカー塗装は大変でした.塗膜が薄いから回数塗る必要がある,という意味がやってみてわかった感じです.要するに,ラッカーの主成分はほとんど溶剤で,乾燥は早いけど,乾くとほとんど成分が残らない,と言うと言い過ぎですが,それくらいの感覚でいた方が良いかも知れません.で,結果をあせって一日になんども塗り重ねると,下の塗装まで溶けたりします.また,塗膜が薄いので,下地処理が甘いと結局いつまでも凸凹しています.ただ,塗膜の質は固くて,磨くと輝くのでとても気持ち良いです.触った感じもキュッキュッとしますし.結局,ネックはクリアラッカーを刷毛で繰り返し塗って,うまくできたのですが,ボディーの方は,スプレー缶に頼りました.Webで見た情報の通り,毎日少しずつ,一週間かけて塗り重ね,その後一週間は乾燥に徹して,完成した次第です.パーツ類もそれなりにこだわって改良したのですが,完成品はとても気に入っています.苦手だったオクターブチューニングにも慣れ,結構精度良く作れたと思います.さあ,これから練習だ!

真空管ギターアンプ

無線や高級オーディオ以上に汎用的に真空管が使われているのが,実はギターアンプの世界だったりします.今でも新品がギターマガジン他の雑誌に広告で掲載されているくらいです.ということで,自分としても気になるわけで,とりあえず本を買ってみました.「真空管ギターアンプの工作・原理・設計」という本です.技術屋でありながらギタリストという著者の文章は,軽妙でありながら,エンジニアにも読み易い正確さを伴っており,楽しく読めます.高級オーディオの様に肩が凝らず,無線機の様に難しくなく真空管の世界へ入っていくには一番かも知れません.歪み万歳!

テレキャスキット製作の続き(その1)

塗装で苦戦しています.季節がら,外で塗装していると虫がくっついたり,乾燥中に落っことして泥や傷がついたりして,何度もやり直している気が.きちんと乾かないうちに重ね塗りしているのも良くないのかも.もっと心にゆとりを持って臨まないといけませんね.

でも,早く音を出してみたくなるんですよねぇ.

エレキギターキット(二台目)

一台目のレスポール型キット,なかなか良い音で楽しんでいます.次はストラトか?とも考えたのですが,素朴なデザインでありながら結構尖がった特徴を持っていそうなテレキャスターに惹かれ,キットを入手しました.HOSCOさんはとても対応が親切でしたので,またここから買うことも考えたのですが,今回は別のキットを試したいと考え,オーストラリアのPit Bull GUITARSから購入しました.送料が$75もかかるのが痛いですが,キット自体の価格がそれほど高額ではないので,頼む価値があります.
一週間以内で届き,対応はとても迅速でした.
さっそく,開梱すると,初めて見るアッシュボディは新鮮でした.価格も価格なので,4ピース構造ですが,割と荒目な木目と結構変わった香りが特徴的です.

木目がきれいなので,ナチュラル仕上げにするか,でも,4ピースだからある程度塗りつぶすか,適度に塗ってクリア仕上げで,バター・スコッチ・ブロンドを目指すか,思案のしどころです.

エレキギター完成

塗装などで結構手間取りましたが,ようやく完成しました.
終盤,リアピックアップ不良というアクシデントに見舞われましたが,製造元のHOSCOさんに相談させていただいたところ,交換品をすかさず送っていただき,無事完成にいたりました.とても親切かつ迅速にご対応いただいたことをここに感謝いたします.どうもありがとうございました.
ということで,早速弦を張り各部の調整,チューニングを行い,とても精度が良いキットであることを再確認しました.
音に詳しいわけではないのですが,個人的にはとっても良い音に感じました.自宅には,市販品のギターが何本かあるのですが,レスポール型は無いので,音の違いを楽しんでいます.
シングルとハムバッカーの違いも面白いです.